異端者



白い髪
黄色い眼
彼は異端者
本人はそれと意識してはいなかったが
確かに彼は異端者だった

町を彷徨し、部落を訪れる
一目で異端者と判る彼は
畏怖と尊敬の眼で見つめられながら
奇蹟を行い
日々の糧を得ていた

黒い髪
青い眼の種族は
彼を認めなかった
謙虚に振る舞う彼を
自分達の風習を乱すと騒ぎ
彼の行為を無駄にし
彼を抹殺しようとした

それまで
人の為に尽くしてきた彼は
その種族のあまりの振る舞いに
力の限りを尽くし
その種族を全滅させんとした
その時
  全ての彼の力は失われ
彼の髪は黒くなり
彼の眼は青く変わった

もう
今は
何処にも
異端者はいない

夢実の言霊
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